#0028
廃工場
テーマ: 廃工場
生成日時: 2026/02/06 00:00
# 廃工場
廃墟探索仲間と、郊外の廃工場に入った。二十年前に閉鎖された、機械部品の工場だ。
錆びた門を越え、敷地内に入る。建物は思ったより大きかった。窓ガラスは割れ、壁には蔦が這っている。
中に入った。薄暗い。天井から光が漏れている。床には瓦礫と、古い機械の残骸。
奥に進んだ時、音が聞こえた。
機械の音だ。稼働している音。
「動いてる?」
仲間が囁いた。電気が通っているはずがない。でも、確かに音がする。
音の方向に進んだ。工場の奥、大きな部屋に出た。そこには、古い機械が並んでいた。
その一台が、動いていた。
プレス機のような機械。何かを打ち付けている。規則的なリズムで。カタカタ、カタカタと。
近づいて見た。機械は何も打っていなかった。空気を相手に、ただ動いている。
「このリズム……」
仲間が言った。「タイプライターみたいだな」
確かにそう聞こえた。キーボードを打つ音。誰かが文章を打っているような、規則的な音。
カタカタカタ、カタ、カタカタカタ。
「何を打ってるんだ」
機械の周りを見た。床に紙が散らばっていた。古い紙。文字が書かれている。
拾い上げて読んだ。
「ここにいる」
同じ文章が、何百枚も。「ここにいる」「ここにいる」「ここにいる」
機械が止まった。
静寂が落ちた。そして、背後から足音がした。
振り返った。誰もいない。でも、足音は近づいてくる。
私たちは走って逃げた。
工場を出た後、仲間が気づいた。「お前のリュック、何か入ってないか」
リュックを開けた。紙が一枚、入っていた。さっきの紙だ。でも、文字が違っていた。
「ついていく」