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美容院の鏡
テーマ: 美容院の鏡
生成日時: 2026/02/03 00:00
# 美容院の鏡
いつも通っている美容院で、髪を切ってもらっていた。
目の前の大きな鏡に、自分の姿が映っている。美容師さんが、ハサミを動かしている。
何気なく鏡を見ていた時、後ろに何かが映った。
人影だ。私の後ろに、誰かが立っている。
振り返った。誰もいない。
鏡を見た。まだいる。黒い服を着た人。顔は見えない。私の真後ろに立っている。
「あの、後ろに誰かいません?」
美容師さんに聞いた。
「いませんよ。私だけです」
鏡を見た。美容師さんの他に、まだ誰かがいる。
「黒い服の人が」
「どこにですか?」
美容師さんも鏡を見た。首を傾げた。「何も見えませんけど」
私には見えていた。その人影が、ゆっくりと動いている。私に近づいてくる。
「すみません、ちょっと——」
立ち上がろうとした。でも、体が動かなかった。
鏡の中で、人影が私の肩に手を置いた。冷たい感触が、現実の肩にも感じられた。
「お客様、大丈夫ですか?」
美容師さんの声が遠くに聞こえた。鏡の中の人影が、私の耳元に顔を近づけた。
何かを囁いた。聞き取れなかった。でも、その瞬間、鏡が割れた。
大きな音がして、破片が飛び散った。美容師さんが悲鳴を上げた。
騒ぎが収まった後、店長が謝罪してきた。「古い鏡でしたので、割れてしまったようです」
私は何も言えなかった。ただ、割れた鏡の破片を見つめていた。
破片の一つに、まだ何かが映っている気がした。