#0014
古いカセットテープ
テーマ: 古いカセットテープ
生成日時: 2026/01/23 00:00
# 古いカセットテープ
祖父が亡くなり、遺品整理を手伝った。物置の奥から、古いカセットテープが出てきた。ラベルには何も書かれていない。
持ち帰って、古いラジカセで再生してみた。最初はノイズだけ。砂嵐のような音。
やがて、声が聞こえてきた。
「——これで、録音できてるのかな」
自分の声だった。
間違いない。この声は、自分のものだ。でも、このテープを録音した覚えはない。
「えーと、今日は、何を話そうかな」
声が続く。自分の声が、何かを語っている。
「最近、変な夢を見るんだよね。おじいちゃんの家に行く夢。でも、おじいちゃんはもういないんだ」
祖父は三年前に亡くなった。このテープは、その後に録音されたものらしい。でも、私は録音していない。
「この家には、何かいる気がする。見えないけど、いる。俺のことを、ずっと見てる」
テープの声が、小さくなった。そして、別の声が混じり始めた。低い、しわがれた声。
「——見つけたな」
ノイズが激しくなる。自分の声が叫んでいる。何かに怯えている。
「やめて、来ないで、やめ——」
ブツン、と音が切れた。テープは終わっていた。
私はラジカセを見つめた。このテープは、誰が録音したのか。祖父の家で、何があったのか。
背後で、物音がした。振り返ると、誰もいない。でも、ラジカセが勝手に動いていた。
巻き戻しを始めていた。