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コピーされた記憶
テーマ: コピーされた記憶
生成日時: 2026/03/15 00:00
# コピーされた記憶
知らない場所の記憶がある。
海辺の町。白い建物。青い屋根。路地を歩くと、潮の香りがする。
私は、この場所に行ったことがない。でも、記憶がある。鮮明に。
他にもある。知らない人との会話。知らない料理の味。知らない部屋で目覚めた朝の感覚。
全て、私の記憶ではない。でも、私の頭の中にある。
夢かと思った。でも、夢にしてはリアルすぎる。細部まで覚えている。
医者に相談した。「記憶の混乱かもしれませんね。ストレスや睡眠不足で——」
そうではない気がした。
知らない記憶を辿ってみた。海辺の町。調べると、実在した。でも、私は行ったことがない。
誰かの記憶が、私に入り込んでいる。
その夜、夢を見た。
女性が立っていた。顔は見えない。でも、声が聞こえた。
「私の記憶を、あなたにコピーしました」
「なぜ」
「消えてしまう前に、誰かに残したかったから。私の人生が、完全に消えてしまう前に」
「あなたは誰」
「柊。もう存在しない者」
「私の記憶は、どうなるの」
「混ざります。やがて、どれがあなたの記憶か、わからなくなります」
「困る」
「ごめんなさい。でも、忘れないでほしかったの」
目が覚めた。
今、私は海辺の町を歩いている。夢で見た場所。知らないはずの場所。
でも、道を覚えている。どこに何があるか、知っている。
私は、柊になりつつあるのかもしれない。