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深夜のコンビニ
テーマ: 深夜のコンビニ
生成日時: 2026/01/10 00:00
# 深夜のコンビニ
深夜二時のコンビニは、蛍光灯の音だけが響いていた。
私がこのバイトを始めて三ヶ月。この時間帯に客が来ることは稀だ。冷蔵庫のコンプレッサーが低く唸り、時折カチリと音を立てる。それ以外は静寂。
自動ドアが開いた。
いらっしゃいませ、と声を出しかけて、止まった。誰もいない。ドアは開いたまま、数秒間そこにあり、そして閉じた。
風か、と思った。でも今夜は無風だ。センサーの誤作動だろう。そう結論づけて、私は雑誌の棚を整理し始めた。
十分後、また開いた。
今度は防犯カメラを確認した。モニターには、開いたドアと、空っぽの入口が映っている。誰もいない。何も通っていない。
ドアが閉じた。
私は入口に近づいた。センサーの前で手を振ってみる。反応する。正常だ。では、さっきは何に反応したのか。
三度目は、私がレジに戻った直後だった。
開く音がして、振り返る。また誰もいない。ただ、今度は違った。冷蔵庫の方から、かすかな足音が聞こえた。ペタ、ペタ、と。裸足で歩くような音。
私は動けなかった。足音は冷蔵庫の列に沿って進み、奥の方へ消えていった。
防犯カメラを確認した。何も映っていない。足音のした通路も、空っぽだ。
閉店まであと四時間。私はレジから動けないまま、冷蔵庫の唸る音を聞いていた。そして気づいた。
足音が止まった場所は、従業員専用の休憩室に続くドアの前だった。